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[05/30(土)更新]
閑話を追加


閑話【純白の衣装】

美しい刺繍やレースがあしらわれた純白の衣装。普段自分が着るものとは正反対のそれに、ロシェは居心地の悪さを感じながら目の前の友人に向けて文句を口にする。
「どうしてアタシが、こんなの着なくちゃなんないワケ……?」
「お師匠から頼まれた教会のお手伝い、専用のお洋服を着る必要があるんだって。ロシェすっごくキレイだねー!」
ニコニコと笑顔を見せるプラリネも同じく真っ白な衣装を身に纏っていた。
動きやすそうなパンツドレスは、いつも元気いっぱいの彼女によく似合っている。
今日は一日この衣装を着て、永遠の絆を誓う儀式の手伝いをしなくてはいけないらしい。
こんな事なら意地でも手伝いを断るんだったと、ロシェは深いため息を吐く。
「アタシやっぱり帰る」
「えええーっ!? どうしてー? お洋服気に入らなかった?」
「こういうの……アタシには似合わないでしょ」
不満げなプラリネに、ロシェはヒラヒラとなびく衣装の裾を持ち上げてみせる。
そんな彼女にプラリネは一瞬きょとんとした顔をした後、満面の笑みを浮かべた。
「そんなことないよ。だってその衣装は、ボクがロシェに一番似合うと思って選んだものだもん」
まるでどこかの御伽噺に出てくる王子のように、美しいベールをすくい上げてみせる。
「他の誰が何を言ったって、ボクにはロシェが一番キレイに見えるよ。……それじゃだめかなー?」
「~~~~っ!!」
嘘偽りのない心からの言葉を真正面からぶつけられ、ロシェは頬を真っ赤に染めあげる。
「……今日だけ、だから」
「やったー! ありがとうロシェ!」
「……アンタ、ホント恥ずかしい……」
嬉しそうに破顔するプラリネを前に、ロシェは薔薇のように赤くなった顔を白く長い袖で覆い隠した。


閑話【夢のような出来事】

「クーサマ、綺麗! 本当ニ綺麗!」
「そんな当たり前のことを連呼しないでほしいですわ。鬱陶しい」
自分好みの可愛いドレス、美しい花飾りとリボンを付けて、上機嫌でいられたのはほんの少しの間だけ。
ここしばらくおあずけだった可愛いものに夢見心地だった彼女の気分は、キャイキャイとうるさく周囲を飛び回る契約龍のせいで著しく損なわれてしまっていた。
「クーサマ、凄ク可愛イ! 可愛イクーサマ、見ラレテ幸セ!」
「……私はとても不幸せですわ。ただでさえ可愛くない龍ですのに、さらにダサい装いを見せられるなんて」
自分と同じように正装姿をしているモルムを眺めて、クーリアは至極不満そうな顔をする。
「ダッテ、クーサマ綺麗ナ恰好ダカラ。僕モ綺麗ニシナクチャッテ……」
「それでどうしてその恰好に行きついたのか、理解できませんわ」
「ゴ、ゴメンナサイ……。僕、可愛クナクテ……」
(……別にこの子がしょんぼりしようが、私の知ったことではありませんわ。……けれど何故かスッキリしませんわね)
仕方がないと深いため息を吐いて、クーリアは足元でしょんぼりと項垂れるモルムを見下ろし宣言する。
「周囲にダサい契約龍を連れているなんて思われるのは不愉快ですもの。せめて見られる程度には、私がコーディネートしてあげますわ」
完全に上から目線の、馬鹿にした物言い。しかしそれでもモルムはぱぁっと嬉しそうに顔を上げて、女神を見るような目でクーリアを見上げた。
「クーサマ! 嬉シイ! アリガトウ!」
「……本当に、仕方がありませんわね」
嬉しい嬉しいと喜びの声を上げるモルムを見て、クーリアは不機嫌そうに目を細める。
しかしその口元は、わずかに笑っていた……のかもしれない。

「クーサマガ! 僕ノ為ニ! コーディネート! 嬉シイ!」
「……勘違いしないでくださいます? これは私のためであって、決して、万が一にも、貴方のためではありませんわ」
しかしやっぱりとても鬱陶しかったのか、モルムは見事クーリアの足蹴にされてしまった。
「ギャフン! デモ嬉シイ! 夢ミタイ!」
「ちょっとアンタ! アタシの可愛いモルムちゃんに、なんてことしてんのよーっ!」
己の足元には踏まれてもなお嬉々とした表情の龍がいて、背後からは白いドレス姿の……得体の知れない何かが迫り来る。
「……夢ならさっさと醒めてほしいですわ」
それは今のクーリアの、心の底からの願いだった。
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