[10/24(水)更新]
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龍の章【滅雷龍の過去Ⅰ】

負傷者の回復が終わり、ニース達がそれぞれの持つ情報を整理していた時、突如頭上に大きな影が差した。
見上げると、狐龍に乗った小さな子ども達がこちらを見下している。
その中で龍の頭にしがみついていた黒髪の少年が、彼女達に声をかけてきた。
「取り込み中に悪ぃな! アンタ等の中に、ティフォンって名前の龍契士はいるかい?」
「ちょっと、あの子アンタの知り合い?」
「いや……」
シャゼルの問いかけに目を丸くしながら首を横に振るティフォンを見て、ニースが彼等へ声をかける。
「君達は何者だ。何故その名の龍契士を探している」
「まぁそう警戒すんなって、怪しいモンじゃねぇから」
「いやいや、いきなり現れて名乗りもしない奴には誰だって警戒するだろ。ちゃんと説明しろよスオウ」
「へいへい」
地に降り立ったスオウは笑みを浮かべながらニース達を一瞥する。
その中でティフォンの姿を視界に入れた途端、眉を寄せて首を捻った。
「……ん? んんんー?」
「な、何なんだ……」
困惑する彼に構わずじーっと見つめた後、ぽんと手を叩いて驚きの表情を浮かべる。
「あーやっぱりドルヴァじゃねぇか。なんだお前、封印から解放されてたのかよ」
「……!?」
ティフォンは目を見開いた。
ドルヴァは長い間ずっと自身の故郷の地に封じられ、その存在を知る者はごくわずかのはずだった。けれどスオウは昔からの顔見知りであるような口ぶりをしている。
そしてドルヴァの方も彼を知っているのか、双頭を上げて目を細めた。
『……狐龍の子か』
「おう、久しぶりだな。お前をあの土地に縛る封鎖は龍王達がかなり厳重に仕掛けたって話だったがなぁ。しかも”奴”と違う人間の契約龍になってるとは、ホント驚きだぜ。あの封印、どうやってぶち破ったんだ?」
『貴様に言葉で語る必要はない。知りたければその眼で視るが良い』
「あぁ、確かにその方が手っ取り早いな」
ドルヴァの言葉にニヤリと口角を上げたスオウは、閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
全てを見透かす龍眼が、ティフォンを正面から貫く。
「悪いな兄ちゃん。アンタとドルヴァの過去、ちょっと覗かせてもらうぜ」

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