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[04/18(水)更新]
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龍の章【束の間の休息】

かつて召喚し共に戦っていたガランダスは、龍覚印を奪った者の契約龍になっていた。
予期せぬ再会は、ラシオスに大きな動揺と困惑を与える。
「なぜ、お前なんだ。どうして……」

常に騎士として力だけを磨いてきたラシオスは、努力の末に狂剛龍の名を持つガランダスの召喚に成功した。その巨体で全てを薙ぎ払うガランダスと鉄壁の守り手であるラシオスの武功は瞬く間に轟き、やがて衛龍喚士と呼ばれ、認められるようになった。
何事も自分の努力で道を切り開いてきたラシオス。
しかしそんな彼女にも、苦手とするものがあった。
「……なんでこのオレがこんな事しなきゃなんねぇんだよ」
ガランダスはブツブツと文句を言いながらその巨体に似合わず繊細な手つきで食材を調理していく。
「隊長から茶会の誘いを頂いたのだが、菓子を持参するように頼まれたのだ。シャゼルの主催だというし、買ったものを持っていくのもどうかと思ってだな……」
言葉を濁すラシオスに大きなため息を漏らし、ガランダスは調理場の隅に追いやった黒い物体に視線を向ける。
彼女が唯一、努力ではどうにもならなかったもの。それは料理や掃除といった家事全般だった。掃除や洗濯は力加減が分からず、料理に至っては必ず黒い何かが出来上がる。
あまりの惨状を見かねたガランダスが世話を焼き始め、結局は代わりにこなすようになっていた。
「戦場じゃ敵無しだってのに、こういう事はてんでダメだってんだから、オレの主は極端すぎるぜ」
「う、うるさい! どう頑張っても上手くいかなかったんだから仕方がないだろう! それに……」
少し気恥しそうに顔を赤くしながら、ラシオスはぼそりと呟く。
「私ができない事は、お前がやってくれるだろう。……それでいい」
「……本当に、仕方がねぇ奴だな」
不器用な自分を、ガランダスはいつも笑いながら助けてくれていた。

かつて共にいた頃を思い出し、拳を握りしめる。
再会した時、去り際にガランダスは言った。
ラシオスが自分を棄てたのだと。もうラシオスの兵ではないのだと……。
「私はお前を……棄てたり、など……」
絞り出すような声で呟くも、届けたい相手はもう目の前にいない。
いたとしても、今では聞いてもらえるかすら分からない。
……ガランダスは敵なのだ。
どんな理由や経緯があったとしても、己がすべき事は変わらない。
その為にかつての相棒を傷つける事になったとしても。
ラシオスは再び前を見据え、龍覚印を奪還すべくガランダス達を追いかける。
「私はただ、与えられた役目を果たす」

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