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[04/11(水)更新]
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龍の章【束の間の休息】

歩き疲れたリィが眠りについた頃、彼女の影から姿を見せたガランダスは、ティフォンへ自分の特技の一つを披露した。
「あの時、怪我させちまった詫びがまだだったからな」
ずらりとティフォンの目の前に並べられた肉、魚、果実、様々な食材を使ったそれらは、全てガランダスの手作りだ。
「……器用だな」
その巨体からは想像もできない料理の数々を前にして、ティフォンは思わず目を丸くする。
そんな彼の様子にガランダスは満足げだ。
「お嬢用の朝飯も作っておいたから、起きたら食べさせてやってくれ。お嬢にはちゃんとした物を食わせてやんなきゃなんねぇからな」
「リィのために料理を覚えたのか?」
本当に父親みたいだなと笑うティフォンに、ガランダスは少しだけ複雑そうな顔をする。
「随分前に、そりゃあもう不器用な奴がいてな。見かねて覚えたんだ。こうやってちゃんとしたモン作れるようになったのはお嬢と出会ってからだが、オレに関わる人間って奴は何でどいつもこいつも世話がかかる奴なんだろうな」
まるで何かを懐かしむように、しかし何処か悲しそうに呟くガランダスに、ティフォンはそれ以上問いかけることなく、目の前に置かれた料理を口にする。
「……美味い」
「おう、たらふく食いな」
初めて食べたドラゴンお手製の料理は、温かくて優しい味がした。 

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